食洗機のご使用について

食洗機が使えるうつわ、使えないうつわ、
何が違うの？というご質問をいただく機会が多いので、
長くなりますが、カネアオの考えを書いてみようと思います。

食洗機の使用に関しては、お店によって考え方に違いがあるので、
カネアオの考えが正解というわけではないという点をご留意いただけますと幸いです。

＊　＊　＊

まず最初に、カネアオで扱っている焼き物の中に、食洗機の使用が「絶対にダメ」というものはありません。
商品によって「食洗機使用可」「手洗い推奨」と違いがあるのは、
食洗機を使っても変化しない絵付け、
食洗機を使うと色落ちする“可能性”がある絵付けが存在するためです。


1.食洗機が使えるうつわ（下絵）





これらは、白地に藍色の絵の具で絵付けをしている、通称「染付（そめつけ）」と呼ばれるうつわです。
素焼きした生地の上に「呉須（ゴス）」という絵の具で絵付けをし、ガラス質の釉薬をかけて焼成します。
釉薬の下に絵付けがあるため「下絵（したえ）」とも呼ばれます。
※藍色だけではなく、カラフルな呉須もあります。

うつわの表面が釉薬でコーティングされているので、
絵付け部分を爪で引っ搔いても、爪に引っかかるような感触はありません。
食洗機で毎日ガシガシ洗っても、絵付けが色褪せたり、変色したり、
絵付けが剥がれることはありません。

うつわを重ねたり、箸やフォークが当たることによって、
釉薬の表面に細かい傷がつくことはありますが、絵柄に影響はありません。
安心して食洗機をご使用ください。


2.手洗い推奨のうつわ（上絵）





これらは上絵（うわえ）と呼ばれます。
赤や黄色、緑、金やプラチナなど、カラフルな絵の具が使われているのが特徴です。
※赤い上絵のうつわは、赤絵と呼ぶことが多いです。
※藍色以外の絵の具がすべて上絵というわけではありません。

上絵のうつわは、釉薬をかけて焼成したうつわに、専用の絵の具で絵付けをしてから再度焼成します。
つまり、すでに完成している状態のツヤツヤのうつわの表面に絵を描き、
更にもう一度、低温の窯に入れることで、絵の具を焼きつけているのです。

上絵の絵付け部分は釉薬でコーティングされていないため、触ると少しザラザラしています。
“絵付け部分が釉薬でコーティングされていない”ということは、
洗剤の成分の影響を受けやすく、引っかき傷などがつきやすいということです。

食洗機の取扱説明書や、食洗機用洗剤の注意書きを読むと、
「上絵付の食器にはご使用いただけません」と書いてあるものがほとんどかと思います。
食洗機用洗剤は汚れ落ちをよくするためにアルカリ性のものが多く、
また漂白剤などの様々な成分が含まれています。
（絵の具の種類にもよりますが、上絵はアルカリ性と相性が良くないと言われています。）

食洗機で洗ったからといって、すぐに大きな変化が現れるということは滅多にないと思いますが、
食洗機の使用を続けることで、洗剤の成分と反応して、
絵付けが色褪せたり、変色したり、絵柄が剥がれることがあるため、
お客さまにはできるだけキレイな状態で長く使っていただきたいという思いから、
上絵のうつわは中性洗剤と柔らかいスポンジを使った“手洗い”でのお手入れをお勧めしています。

お客さまには手洗いを推奨していますが、
我が家では実験もかねて、赤絵も金もプラチナも、すべて食洗機で洗っています。
液体の食洗機用洗剤（中性）を使用しつづけて十数年、いまのところ退色・変色したうつわはありません。

しかし、親戚の家に行ったとき、
日頃から食洗機で洗っているという赤絵のうつわの色落ちが激しく、
今にも消えそうな赤で衝撃を受けたことがあります。
使っている洗剤も使用頻度も違うので、比較することはできませんが、
使用環境によっては絵付け部分に変化が生じるということを実感しました。

そして最後にもう一つ重要なことですが、
食洗機を使わずに手洗いで洗っているからといって、
上絵部分が永久的にキレイなままというわけではありません。

最初の方に書いたとおり、上絵部分は釉薬でコーティングされていないため、
使用に伴う細かい傷がつきやすく、うつわを重ねたり、箸やフォークが当たることによって、
絵柄が擦れたり、少しずつ色が薄くなっていくことがあります。
また、漂白剤や研磨剤の使用、スポンジで擦ることによる影響もあります。

様々な色味の絵の具を鮮やかに発色することができる上絵。
下絵に比べると繊細で、少しデリケートなうつわではありますが、
あまり神経質に考えず、日常の道具として気兼ねなく使っていただけましたら幸いです。